「実践問題は文章が長くて、読むだけで疲れる」
「全部読んでいると時間が足りなくなる」
「必須や理論が終わっていないけど、実践へ進んでいいの?」
このように悩んでいませんか。
私が実践問題へ本格的に進んだのは、6年生の10月です。
第110回薬剤師国家試験では273点(345点満点)で合格しましたが、9月の統一模試Ⅰを受けた時点では、実践問題はほとんど手をつけていませんでした。
実践問題は、必須や理論とは違う新しい勉強を始めるわけではありません。これまでに覚えた知識を、症例や処方の中でどう使うか練習する段階です。
この記事では、私が10〜12月に実践問題をどのように進めたのかに加えて、長いリード文を効率よく読む方法を、第109回薬剤師国家試験の実例を使って解説します。
実践問題はいつから始める?
私は10月から本格的に始めた
私は4〜6月に必須問題、6〜9月に理論問題を進め、10月から実践問題へ入りました。
ただし、「10月1日になったから、全科目を一斉に実践へ切り替えた」という意味ではありません。
私は9科目を、次の3グループに分けて進めていました。
- A:物理・薬理・法規
- B:化学・衛生・薬剤
- C:生物・病態・実務
グループごとに理論問題を3周し、終わったグループから実践問題へ進みました。
そのため、あるグループは実践問題へ進んでいる一方で、別のグループはまだ理論問題を解いている時期もありました。
理論が完璧になるまで待たなくてよい
理論問題を完璧にしてから実践へ進もうとすると、いつまでも実践問題を始められません。
私が切り替えの基準にしたのは、「完璧に覚えたか」ではなく、そのグループの理論問題を3周したかです。
もちろん、3周しただけですべて覚えられたわけではありません。間違えた問題や曖昧な知識は、自作問題ノートで引き続き復習しました。
まだ理論で分からない問題があるんですが、実践へ進んでもいいですか?
僕は完璧になるまで待たなかったよ。3周を一区切りにして実践へ進み、苦手なところは自作問題ノートで復習していたんだ。
10〜12月で実践問題を3周したペース
実践問題は、10年分を3周しました。
1周目から3周目まで、○△×に関係なく全問を解いています。
| 周回 | 時期の目安 | 解いた範囲 |
| 1周目 | 10月 | 実践問題10年分・全問 |
| 2周目 | 11月 | 実践問題10年分・全問 |
| 3周目 | 12月 | 実践問題10年分・全問 |
私の場合、実践問題は1周目からおおむね3日で1年分のペースでした。
実践問題は理論問題より文章が長いのに、なぜ理論問題の1周目より速く進められたのか。
理由は、必須・理論問題を通して知識が少しずつ増えていたからです。
実践問題では、これまでに覚えた薬理、病態、薬剤、実務などの知識を組み合わせて答えます。まったく知らない状態から考える問題が減っていたため、実践問題は比較的スムーズに進められました。
3周しても○にならなかった問題や、その関連単元は、ほとんど自作問題ノートへ移しました。
回数別を3周したうえで、自作問題ノートでも何度も思い出す練習をしていたので、実質的にはそれ以上の回数を復習しています。
と、ここまでは必須や理論とほぼ同じ内容でしたが、実は実践問題には実践問題の解き方があるんです!
実践問題を解くポイント
ここからは、実践問題を解くときに確認しておくとよいポイントです。
実践問題を解くときに、私が特に意識していたのが読む順番です。
長いリード文を最初から全部読むのではなく、先に設問を読みます。
「全部読まなかったら、問題を解けないのでは?」と思うかもしれません。
しかし、実践問題のリード文には、年齢、家族構成、既往歴、処方薬、検査値、複数日の経過など、多くの情報が含まれています。
最初からすべてを同じ重さで読んでいると、時間がかかるだけでなく、何を探せばよいのか分からなくなることがあります。
近年の薬剤師国家試験についても、薬ゼミの総評では、実践問題は文章量が多く、解答に時間を要したと分析されています。
そのため、実践問題では次の順番で読む癖をつけると良いです。
| 順番 | 読む場所 | 確認すること |
|---|---|---|
| 1 | 設問 | 何を答える問題か |
| 2 | 選択肢 | 病態・薬・検査値など、探す情報の種類 |
| 3 | リード文 | 指定された日付、症状、処方、検査値 |
| 4 | リード文の残り | 見落としや答えとの矛盾がないか |
大事なのは、必要な情報を読まないということではありません。読む順番と、情報の濃淡を変えるということです。
ここからは、第109回薬剤師国家試験の問218・219を例に、私がどのような順番で読んでいたか説明します。
76歳女性。夫と息子との3人暮らし。高血圧症、てんかん、統合失調症及び不眠症の治療を行っている。処方1〜3は、以下の時系列記録の1年前から継続している。


問218(実務)
8月4日に医師から指摘のあった副作用の原因薬物として、可能性が最も高いのはどれか。1つ選べ。
- アジルサルタン
- バルプロ酸ナトリウム
- リスペリドン
- ラメルテオン
- レンボレキサント
問219(物理・化学・生物)
この副作用と同じ症状が現れる可能性が最も高いのはどれか。1つ選べ。
- 皮質脊髄路の障害
- 大脳皮質運動野の障害
- 大脳辺縁系の障害
- 大脳基底核の障害
- 視床下部の障害
ステップ1|問218の設問と選択肢を先に読む
まず、長いリード文ではなく、問218の設問を確認します。
8月4日に医師から指摘のあった副作用の原因薬物として、可能性が最も高いのはどれか。1つ選べ。
この設問から、探すべき情報は次の3つだと分かります。
- 8月4日に起きたこと
- 医師が指摘した副作用
- その原因になりそうな処方薬
また、選択肢を見ると、5種類の薬がありそれらの特徴的な副作用が頭の中に浮かんでくるかと思います。
今回では、
アジルサルタン:低血圧によるふらつき・立ちくらみ
バルプロ酸ナトリウム:肝障害(AST,ALTの上昇、倦怠感、食欲不振、黄疸など)
リスペリドン:パーキンソン症候群、悪性症候群
ラメルテオン・レンオレキサント:翌朝以降の眠気、悪夢 など
これらが頭に浮かんだところで、設問に「8月4日」と書かれているので、リード文の8月4日の部分へ戻ります。
ステップ2|8月4日の症状を確認する
8月4日の家族からの相談には、次の症状が書かれています。
- よだれが出るようになった→流涎
- 顔の表情がなくなった→仮面様顔貌
- 歩行が遅くなった→運動緩慢
また、かかりつけ医から「随意運動は問題なし、薬の副作用だね」とあります。
これらの症状から、パーキンソン症候群を疑います。
症状を一つずつ別々に考えるのではなく、複数の症状から共通する病態を思い浮かべます。
ステップ3|原因になりそうな処方薬を探す
次に処方1〜3を確認し、パーキンソン症候群を起こす可能性がある薬を探します。
処方薬の中では、リスペリドンが該当します。
リスペリドンはドパミンD2受容体を遮断します。黒質線条体路でドパミンの作用が弱くなることで、薬剤性パーキンソン症候群などの錐体外路症状を起こす可能性があります。
したがって、問218の答えは3番のリスペリドンです。
ステップ4|問219の設問を見る
続いて問219の設問を確認します。
この副作用と同じ症状が現れる可能性が最も高いのはどれか。1つ選べ。
「この副作用」とは、問218で確認したパーキンソン症候群のことです。
パーキンソン症候群は、黒質線条体路のドパミン機能低下や、大脳基底核の機能障害と関係します。
したがって、問219の答えは4番の大脳基底核の障害です。
問218・219では優先度が低かった情報
この2問に答える段階では、次の情報を最初から細かく読む必要はありませんでした。
- 76歳女性という年齢・性別
- 夫と息子との3人暮らし
- 既往歴
- eGFRの変化
- 8月1日の家族とのやり取り
特にeGFRの数字が目に入ると、「腎機能について聞かれる問題かな」と先入観を持つ可能性があります。
しかし、問218では「8月4日の副作用」が指定されています。先に設問を読んでおけば、8月4日の症状と処方薬を優先して確認すればよいと判断できます。
もちろん、年齢やeGFRがまったく不要な情報という意味ではありません。
ちなみに、リスペリドンは高齢者及び腎機能障害を有する人では半減期やAUCが健康成人と比べて増大し、副作用が起きやすくなることが知られています(詳しくは添付文書で確認してください)。
この患者は、eGFRが直近で32mL/min/1.73㎡と中等度腎機能障害に該当するため、リスペリドンによる副作用が出やすい状態なのです。
ですが、そんな情報がなくてもこの問題を解くことは可能であるということをわかってもらえたと思います。問219なんてリード文全く読まなくても解ける問題でした。
このように、設問を先に読んでから必要な情報を探しに戻ると、長い実践問題でも確認する場所を絞りやすくなります。
リード文全体を確認したほうがよい問題もある
設問を先に読めば、すべての問題でリード文の大部分を飛ばせるわけではありません。
次のような問題では、最終的にリード文全体を確認する必要があります。
- 複数日にわたる検査値の変化を追う問題
- 処方変更前後を比較する問題
- 併用薬や相互作用を確認する問題
- 年齢、腎機能、生活背景まで含めて判断する問題
- 設問だけでは必要な情報を絞れない問題 など
設問を先に読む目的は、リード文を読まないことではありません。
何を探すべきか決めてから読むことです。
答えを選んだあとには、ほかの情報と矛盾していないかも確認してください。
実践問題が進まないときの対処
問題を増やす前に、解説・青本・自作ノートへ戻る
進みが悪いと感じると、別の問題集を足したくなります。
でも、増やす前に確認してほしいことがあります。今解いた問題の解説を、ちゃんと読み込めているかです。
解説で足りないなら青本を引く。理解したら自作問題ノートへ移す。この流れが回っていれば、問題を増やさなくても知識は増えていきます。
遅れは実測で計画を調整する
予定どおりに進まない日はあります。そこで計画全体を捨てるのではなく、実際に進んだ量を確認して、残りを組み直すことが大切です。
私の場合は、週末に「今週どこまで進んだか」を数えて、翌週の割り当てを決め直していました。理想のペースではなく、実際に出た数字のほうを基準にします。
青問は苦手単元の補強に限る
何度やっても×がつく単元が出てきます。そこだけ、青問で問題数を足していました。
「とりあえず青問も1周しておこう」という使い方はしていません。全部やろうとすると、回数別の周回が止まります。中心はあくまで回数別で、青問は穴を埋めるために部分的に使う教材という位置づけでした。
よくある質問(FAQ)
Q. 実践問題はいつから始めればいいですか?
A. 私は10月から本格的に始めました。ただし、日付で決めていたわけではありません。その科目グループが3周終わったところから順に進めていました。
Q. 必須・理論が終わっていなくても進んでいいですか?
A. 完璧になるまで待つ必要はないと思います。理論に完璧という状態は来ないので、待っていると実践に使う期間がなくなります。私は3周を区切りにして進みました。必須や理論をやめるわけではなく、並行して続けます。
Q. 実践問題は何周すればいいですか?
A. 私は10〜12月で3周しました。そのあと1〜2月の年度別の通し演習でさらに2周して、合計5周です。1〜5周目は、○がついた問題も含めて全問を解いていました。
Q. 実践問題を解くポイントはありますか?
A.先に設問を読んで、探す情報を決めてからリード文に戻るという方法がおすすめです。ただし読まなくてよいという意味ではありません。答えを選んだあとに、見落としや矛盾がないかを確認します。時系列や検査値の推移を問う問題では、全体を確認したほうが安全です。
Q. 青問も全部やるべきですか?
A. 私は全部はやっていません。何度やっても×がつく苦手単元だけ、補強として使いました。教材を増やすより、回数別と自作問題ノートを回すほうを優先しています。
Q. 12月までに実践が終わらなかったらどうすればいいですか?
A. 終わらなかった分は残りの量を確認して、1月からの年度別演習へつなげます。私の場合、1〜2月は必須・理論・実践を年度別に2周し、2周とも○△×に関係なく全問を解きました。
まとめ
- 私は10月から実践問題を本格的に始めた
- 科目グループごとに、理論問題を3周したところから実践へ進んだ
- 10〜12月で実践問題10年分を3周した
- 実践問題は、設問を先に読み、必要な情報から確認する
- 遅れている場合も、全科目を一斉に切り替える必要はない
実践問題は、必須と理論で積み上げてきた知識を症例や現場の問題で使う段階です。勉強の型を大きく変えず、自分の進度に合わせて続けてみてください。
この記事では、実践問題の基本的な進め方をまとめました。
私が4〜12月に実際にどれくらいのペースで進み、計画と現実の差をどう埋めていたかは、こちらのnoteに数字と一緒に書いています。気になる方は参考にしてください!
→ 【逆転合格】学年下位10%から薬剤師国家試験273点|必須・理論・実践の進め方を公開
Xで国試の勉強のことや、薬剤師になってからの日常を呟いてます。よかったら覗いてみてください!
→ @yakugakulabo

コメント
コメント一覧 (5件)
[…] 【公開中】10〜12月編:実践問題の進め方と長文の読み方 […]
[…] この時期の具体的な進め方と、長い問題文の読み方は【10〜12月編】実践問題対策で解説しています。 […]
[…] 勉強スケジュール全体の流れは勉強スケジュール完全版を、4〜6月の必須問題対策は【4〜6月編】必須問題対策をあわせてご覧ください。理論のあとに進む10〜12月の実践問題については【10〜12月編】実践問題対策に書いています。 […]
[…] ※6〜9月の詳細な勉強法は「6〜9月編」の記事で解説しています。そのあとの10〜12月については【10〜12月編】実践問題対策にまとめました。 […]
[…] 同じ10月から進めていた実践問題のほうは、【10〜12月編】実践問題対策にまとめています。 […]